秋田の茅葺き民家



男鹿半島では茅葺き民家を発見出来ず、秋田市より北部は探訪する機会が無かったので、南部と山間部の収集である。

秋田平野を流れる雄物川の周辺には秋田特有の中門造りの堂々とした民家が多数見られた。 特に雄和町には良く手入れされた見事な民家があったが、空港になり消滅してしまったのは残念である。

中門造り民家の主にL型に曲がった部分の妻側に空けた明かり取りをかねた煙出し穴をスス窓と呼んでいる。 庇と袖の部分を綺麗な曲線で刈り込んだ姿が京の宮造りを思わせ、どうしてこの地方にこの形が出現したのか疑問であり 又民家を探訪する者にとって出会うのが楽しみである。

中門造り民家に関しては色々な説があるが、日本海海運の北前船交易の栄えた江戸期、内陸の物資を雄物川を利用して運び、 富を得た人々が上方の文化を取り入れたのではないかとの説はうなずける。

日本海の本荘海岸、鳥海山山麓では片中門、両中門の農家、角館、田沢湖方面では中門造りの民家は少ないが、 太い栗材のX型押さえ木を棟にのせたクラカケ屋根を多く見た。


  
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秋田市 1978-5

スス窓の庇・袖の綺麗に刈り込んだ線の 美しさは、民家を探訪する者にとって最高 の魅力だ。中門と曲がり屋の違いはL型 に曲がった部分が入り口か厩かである。

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由利郡 鳥海町 1974-5

本荘の海岸沿い・鳥海山山麓の平地部には 中門・両中門型の農家があった。海岸の漁村は 冬季日本海の強風と寒気に対する松と木材の厳重 な備えで囲まれていた。

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仙北郡 角館町 2006-9

角館・田沢湖町周辺には曲がり屋でも中門 でも無いL型又は平側に軒端煙出しの民家があり、 棟には5から10数個の千木の様なクラ木を置 いた クラグシが多かった。

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平鹿郡 山内村 1999-2

岩手、山形寄りの山間部では比較的単純な寄棟の 直家で棟はクラ木の無い板葺きで津軽風な棟仕舞 の棟飾りが有った。