福井の茅葺き民家


日本列島の豪雪地帯の西端に近く、90度近く折れ曲がった日本列島に大陸から押し 寄せる季節風をもろに受け、長い海岸線を持った福井では東北の雪国とは違った形の 民家が見られました、北部越前、九頭竜川沿い永平寺、坂井郡地方には「つのや造り」 と言う独特の民家が有り、中部今庄付近では極一部ですが「兜造り」、敦賀から小浜 ではどっしりとした箱棟を載せた寄棟、山間部名田庄村ではすっかり丹波風になって いました。 「つのや造り」はこの地方独特で鍵や造り、曲り家と違って高さの違った棟が片方又 は両側に十文字に造られ、その位置も家の中央、左右の片側など決まった形は有りません。 福井の項を作るに当たって気付いたのですが、民家の出入りには平入り、妻入りが有 りますが、妻入りは全国的には非常に少なく殆どが平入りのようです、妻入りは町家 は別として白川郷、富士川系兜造りの山梨、道志、奥多摩、山形の一部、長野の本棟造 りに見られますが他では余り見られません、しかし福井では板取宿の兜造りは勿論、 福井嶺北地方から石川加賀方面に広く分布していました、
また栃の木峠を越えて北国街道木之本浅井の伊香造り民家も妻入りでした。

     
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丸岡町上竹田 (1979-4)

見事なつのや型民家、堂々とした重厚な 破風口は一見の価値が有ります、 修復され現存します

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  今庄町板取 (1977-4)

   戦国の歴史を思い起こさせる栃の木峠 に兜造りが何故?と思わせる不思議な風景。 修復され現存します。

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三方町田井 (1976-1)

景勝地「梅丈岳」と三方五湖に挟まれた田井 は静かな梅の里、棟瓦を載せた屋根の線は優し く美しい。

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名田庄村久坂 (1973-11)

福井も西の端に来ると、すっかり形が変わり  丹波風の寄棟になっていました。

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越前市八石 (2009-4)

旧蓑輪家住宅(おさごえ民家園)                   典型的な両つの造りの民家が残されています が本年から維持費が全面カットされたそうです、 いつまで持つか心配です。